読むことのスリル──ひだかたけし小論(2)/朧月夜
として、その詩人の最初の作、あるいはその詩人の詩集における最初の作、というものから始める、という手法を提案したいと思います。なぜなら、その詩人が最初に書く詩、あるいは最初に選んだ詩とは、その詩人の決意表明に他ならないからです。
この考えに至ったのは、何も時間を省きたいという理由からではありません。文学とはひとつのミームであり、文学に携わる者とは、自ずと文学の歴史を率いていく定めを持っています。作品は読者のためにのみあるものではなく、作者のためにもあるものです。ある詩想が生まれ、そのガイドラインに従って作者は作品を紡いでゆく……そうしたことは、文学の歴史上無数に繰り返されてきた事柄です。写実主義
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