読むことのスリル──ひだかたけし小論(3)/朧月夜
 
第二章 詩人の世俗性


 さて、このような副題をつけてしまいましたが、やはりわたしは迷うのです。というのは、このひだかたけしという詩人の作品には、ほとんど世俗性が見当たらないからです。その詩想はあくまでも澄んでいて、その作品のなかに見出されるのは、純粋な言葉であり、純粋な詩人の想念のみです。例外として、詩人はその個人的な生活に叙述を割くことはありますが、そうした例は稀であり、いささか読者を遠ざけるというきらいが、この作者にないわけではありません。
 なので、わたしは次の詩に氏の世俗性を求めましょう。「ビートルズと自由・直観と感覚」(*1)という詩の一節です。

  ビートルズ
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