読むことのスリル──ひだかたけし小論(6)/朧月夜
待つしかなく、そこには相当な忍耐心と注意力も要求されます。
上に挙げた二つの詩は、どちらも2016年に発表された詩であり、現代詩フォーラムにおける氏の初期の作品にあたります。氏は1960年の生まれであり、四十歳を過ぎて詩に到達した、という氏の言を信じれば、それ以前に多くの作品が書かれ、しかもそれらの作品はわたしたちの目には触れていない、ということになります。あるいは、そこに氏の詩の秘密が隠されているのかもしれません。少なくともわたし自身にとっては、それらの未公開の詩編については、ヴェールに包まれたものであります。
「死を真近にして」というのは、どんな姿勢でしょうか? 詩人というのは、すべから
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