読むことのスリル──ひだかたけし小論(6)/朧月夜
た、「思考シ.07」(*2)という詩には次のように書かれています。
死を真近にして、
書き留める詩の言葉
わたしは、氏との限られた交流のなかで、氏が四十歳を過ぎてから詩に到達した、ということを聞いています。個々の詩人における詩の歴史のなかで、その発端を求めるということは大切です。中原中也のように幼少期から詩を書き始めた詩人であれば、ある作品に対する典拠、原風景というものは容易に求めることができます。ですが、人生半ばから詩を書き始めた詩人においては、どうでしょうか? どこに原風景を求めるべきなのか。どこに詩人の動機を求めるべきなのか。わたしたちは、詩人が自ら語り始めるのを待つ
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