読むことのスリル──ひだかたけし小論(6)/朧月夜
 
の詩を引用したのは、そのタイトルに魅せられたからです。それ以外の理由はありません。ですが、氏の詩には比較的多く、この「垂直」という言葉が現れてきます。仔細については、氏の原典をあたってほしいのですが、氏の詩における「垂直」とは、自意識、あるいは空間それ自体に対する、不可視の別次元のことを表しているように思えます。その証明として、わたしは次のような一文を引用します(「戯れの一時」(*5))。
 
  時は輪切りにされ垂直に立ち

 また、このような詩を引用しても良いでしょう。「現夢〇他者(改訂)」(*6)
 
  無数無限の垂直に降るその凝視を!
  ただ独りで、たった独りで

 
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