読むことのスリル──ひだかたけし小論(6)/朧月夜
 
は否定しません。「好きな詩を書く詩人は良い詩人」ということに、否を唱えることはしないのです。では、そのときの読者とは、一体いかなる存在であるか? むしろそのことのほうが、根本的な問いであると言えます。
 第一章において、わたしは「文学とはひとつのミームであり、文学に携わる者とは、自ずと文学の歴史を率いていく定めを持っています。作品は読者のためにのみあるものではなく、作者のためにもあるものです。」と書きました。これは、評者としての独断が許されるのであれば、わたしが持っている一つの信念です。新しい形式や詩想というものが生まれ、その伝統に乗っ取って新たな詩が生まれるとき、人はそれを受容し、讃えるべきで
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