読むことのスリル──ひだかたけし小論(6)/朧月夜
 
という詩において、氏は「死」について述べた後、そこからすぐに飛翔します。「反感から 共鳴寛容へと!」といった表現が続くためです。
 人が一篇の詩を書くとき、彼または彼女は、詩の全貌を意識しながら書いていくものでしょうか。それとも、自らが書いた言葉に引きずられるようにして、書いていくものでしょうか。かつて、詩人でもあり批評家でもあったヴァレリーは言いました。「作者が作品を作るのではない。作品が作者を作るのだ」と。そこに詩というものの本質があり、秘密もあります。
 ひだかたけしという詩人はつねに意識的であり、その言葉は氏の心から流れるようにあふれ出てきます。「反省」「迷い」など、そこにはないように
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