読むことのスリル──ひだかたけし小論(6)/朧月夜
 
のだろうと
  私は考えていたが
  わたしは私の体を見ていたから
  既に死んでいたわけで
  なのに考えているのだから
  生きているのか
  と思ったが
  ひょっとして
  思うことは
  生きていることの
  証にはならない
  と私は再び考え
  ということは
  考えることは死んでも可能らしい

 この詩には、ひだかたけし氏の「世界意識」が現れています。この引用箇所だけを見れば、氏は「死」をもてあそんでいるようにも思えます。ですが、この詩は2017年の作であり、上に引用した二つの詩の後を継ぐものである、という点に思いを致すべきでしょう。
「言 霊」とい
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