エインスベルの反逆(十六)/朧月夜
「この度、余が汝と面会したことは、クーラスには内密に願いたい」
一連の会見を終えたジギリス・ア・アルヌーは、エインスベルに言った。
「それと、オーバ・ニーチェにもだ。余は、現在誰が味方なのか、
誰が敵なのかを判然と出来ないでいる」
「わたくしは、貴方様の味方です」エインスベルが言う。
その青白い表情に対して、ジギリスはわずかに顔を顰めた。
「ところで、汝はどうやってこの度の会見を取り付けた?」
「クールラントのなかでも、わたしの味方は数人いるのです」
「それは……リーリンディア監獄のリグナロスのことか?」
「さすが、国王様。様々な事情に通じておいでですね」エインスベルが頭を下げる。
「近頃は、不穏な噂も飛び交っているからな。先ほど汝が言ったように、
余の命が狙われている、という情報も入ってくるのだ」
「世界は……今、変革の時を迎えようとしているのかもしれません。
陛下の命の安全が保たれますことを、わたしは何よりも願っております」
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