エインスベルの反逆(十五)/朧月夜
 
「それにはまず、アイソニアの騎士の所在を確認することです。
 アイソニアの騎士、そしてわたしも、この国では罪人の扱いです。
 まずは、アイソニアの騎士に恩赦を出してください」
「それは難しいな。アイソニアの騎士は、敵国の人間だからな」

「それについてなのですが、祭祀クーラスは、
 アースランテとの和睦も画策している、という情報があります」
「アースランテとの和睦だと? 考えられない!
 今、クールラントはかの国に領地を獲得しているのだぞ?」

支配者と被支配者の関係性というものについて、ジギリスは承知していた。
妥協をすれば、その立場が逆転しないとも限らない。
ここで、クールラントが身を引くということは、次なる災禍を招きかねないのである。

「アイソニアの騎士が、それほど重要な人物なのか?」
「はい。彼は、クールラントとライランテに平和をもたらしてくれます」
「それほどの人物なのか、アイソニアの騎士は?」ジギリスは怪訝な表情で言った。
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