オスファハンとエインスベル(一)/朧月夜
 
我が名は、オスファハン。正魔導士であり、エインスンベルの師でもある。
これまでに書いて来たのが、彼女の復讐のおおよその顛末である。
今回の彼女の訪問も突然だった。すなわちエインスベルの来訪である。
「復讐をなしとげることは、空しい」わたしは、蒼い顔をして言った。

「これからが私の人生ですよ。今までもそうだったのかもしれませんが」
「前向きの人生である波動は良い、未来にはこれ以上の困難が待っているのかもしれないが」
「至言ですね。師のお言葉には、嘘がない……」
エインスンベルは師オスファハンのことは、全面的に信頼していた。

「それにしても、お前はどうしてミーガンテを殺さなかったのか?」
「人を殺めることには、慣れてしまいした。今では何の感情も湧きません」
「それよ、人の感情を持つことには、無くしていけない、何かがあるのだ」

「母は、ミーガンテの実娘である、カーライナを、養女とすることに決めました。
 ファシブルの復興には、これからも長くの時間がかかりましょう」
しかし、その時にわたしが考えていたのは、アースランテとラゴスの動向だった。
   グループ"クールラントの詩"
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