復讐が終わって(六)/朧月夜
そのころ、戦士エイソスは祭司クーラスと密接な関係にあった。
リュシクイアの戦いが終わった後、彼は聖騎士に任命されたのである。
戦士エイソスも、祭司クーラスとアイソニアの騎士とが、
互いに嫌悪しあう関係だということは知っていた。
しかし、彼がアースランテに亡命するとは……
これは予想外のことだったのである。
「彼は俺の親友だった。いっしょに戦う友だった。
それが、今ではクールラントの敵か? いったいどうしたというのだ」
戦士エイソスは戸惑っていた。そんなエイソスに対して、
エインスベルはかける言葉を持っていなかった。ただ、
「親友同士が戦わねばならないこともありましょう」
それだけの言葉を述べた。アイソニアの騎士の亡命は、
魔導士エインスベルにとっても辛いことだったのである。
「ああ、奴の命は、俺の命は、どうなるというのだ?」エイソスは呟いた。
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