オスファハンとエインスベル(三)/朧月夜
 
「ガラセラの樹は聖霊タパスと密接な関係にある」
 わたしは言った。
「聖霊タパスとは、何人たりとも触れてはならない者なのだ」
「それまでの事情は心得ております」

エインスベルは顔色を変えずに言った。
「もしやお前は、この世界を支配しようとしているのか?」
「そのようなことに興味はありません。わたしは世界の真実を知りたいのです」
わたしは、エインスベルの言葉に安堵した。

聖霊タパスとは、この世の四つの地獄のなかでも、
最悪の魔神と呼ばれる存在だ。下手をしたらこの世界をも滅ぼしかねない。
「お前がこれ以上の真実に触れることを、わたしは望まない」

「それでも良いのです。わたしはいずれ滅ぼされる存在ですから」
わたしは、エインスベルの悲壮な表情に顔を曇らせた。
「エインスベル、なぜ普通に生きようとはしないのか?」
   グループ"クールラントの詩"
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