オスファハンとエインスベル(四)/朧月夜
「実はわたしは、エランドル・エゴリスと会ったことがあるのです」
そのエインスベルの言葉は、予想外のことだった。
わたしは言う、「まさか。エランドルは三千前に死んだはずだ」
「しかし、わたしは確信を持っているのです。あれがエランドルだと」
それは、エインスベルがユーラディアの谷で休んでいる時だった。
突然、一条の炎が天に向かって立ち上った。
「わが身はエランドル・エゴリスである」
その厳かな声は言った。「お前はエインスベルであるか」
眠っていたエインスベルは不意に目を覚ました。
そこには人でもあるような、人でもないような存在があった。
「お前は誰か?」エインスベルは問う。
「先ほども言ったであろう。我が名はエランドル。
そしてお前は、クールラント一の魔女。エインスベル」
エインスベルは戦慄した。「あなたは死んだはずでは……」
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