灰色の鬼/板谷みきょう
 
鬼と云えば、赤色か青色と相場が決まっていると言うのに。
何だ、この鬼は。
汚い灰色をして…。

それに、虎の褌も穿かないで、熊の毛皮を頭からすっぽり被っているなんて。

うすのろで、間の抜けた顔をして、仲間からも、馬鹿にされているなんて…

そう栗の木が思うと、根元に座って、溜息をついた、灰色の鬼の頭に、イガを落としました。栗の木は、小高い丘の上にポツンと立って、ふもとの村を昔から、見続けて来ました。

夏、真っ青な田んぼに囲まれ、わらぶきの屋根が、ぽつぽつと見えていたのが、今は稲の穂も黄金に変わり、夕日に染まり、キラキラ輝いて見えます。
そして、その黄金に囲まれた家の庭で、
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   グループ"童話モドキ"
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