短編小咄「常連客」/虹村 凌
ブツと何かを呟いている。
侑子が店を出た後、店員は店長に向かって聞いた。
「何なんですか?あのバァサン。臭いし、汚いし。
ズボンのケツんトコなんか、何か茶色いのベッタリくっついてたし。
そんな格好で検査棒買うって何に使うっつーんでしょうね。」
すると店長は、静かにこう言った。
「あの人はね、あーやって、毎週あれを買いに来るんだよ。
君は、まだ入って三日だから知らないだろうけれどね。
もう、この店が出来てから20年も経つのに、毎週、毎週、何年も、何年も、
月曜日になると、決まってあれを買いに来るんだよ。」
「へぇ…そうなんですか。っつかそれって、絶対にアタマおかしいじゃないスか。
[次のページ]
前 次 グループ"自由人の狂想曲"
編 削 Point(1)