短編小咄「常連客」/虹村 凌
か。」
「そうだね。でも、ウチにとっては、大事なお客さんに変わりは無いんだよ。」
「臭いし、他の客の迷惑じゃないですか。」
「いいんだよ。たった一分足らずの事じゃないか。我慢出来ない程じゃないだろう。」
「はぁ…まぁそうですけど…」
「けど、何だ?」
「いや…俺が客だったら、嫌ですけどね。」
その瞬間、店長の目がギラリと光った。
「君は、彼女があぁなった理由を知らないからそう言えるんだよ。」
からん
店員の手から、小銭が滑り落ちた。
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