短編小咄「常連客」/虹村 凌
 
ったろ?!この腐れマ×コが!」
言うだけ言うと、洋一は大股で店を出ていった。
侑子は、そんな洋一をチラリとも見ずに、微笑みを浮かべるだけだった。
「うふふ…嘘だからイケナイのね?本当だったらいいのよね?うふふふ…」

侑子はコンビニに向かうと、妊娠検査棒を購入した。
「本当だったらいいのよね…本当だったらいいのよね…」
そう呟く侑子を、店員は訝しげに見たが、侑子は気にもしていない。
「今日こそ…今日こそは…」
爪は伸びきり、先には黒い垢が溜まっている。
髪はゴワゴワ、臭う体臭、服はヨレヨレで汚れきり、ズボンは黄色く変色している。
その癖、目は嫌に強烈な光を放っていて、ブツブツ
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   グループ"自由人の狂想曲"
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