『九月四日。まるっと』/ハァモニィベル
インも合わないせいで、
大きめのナイロンのバッグで
私はカゴを下からまるっと覆った。
後ろ髪をひかれながら、一本道をいちもくさんに奔ったときのような気持ち
バッグの模様は未だ美しい。
荒んだ冬木立の、
ありきたりで、埃っぽい街並みは
黒地に撒いたような
灰色の木の葉が、
ぜんぶ上を向いて プリントされている。
冬木立の中には何があるのだろうか?
木の葉は
木全体の縮図だと、
いつだったか、誰かに、習った気がする
灰色の木の葉が なんだか 物分かり良いようにも見えたりした。
離れ離れに寄り添う様な密度で
みんな上を向いた
散り散りの木の葉たちが
仄かに冬の夜を待っている。
しゃらしゃらと、ぴったりひっそり
私の目にはそうも見えるし
まるっと覆ったバッグの中でも
木の葉たちは
ろうそくの灯のように、やはり
どっか浮き立っている。
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