『望めても選べない』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
へ移行するもので
一度それを通過するともう決して
元へは戻れないのだと言う
すでに想像を絶せることだが
知識の最後はさらに意味深に閉め括られる
「だが真実は望むことはできても選ぶことはできない」
以前私たちは多くの思念を感じ共有していたが
今は互いに十の個を感じるだけだ
ずいぶん前で定かではないが
いくつもの衝撃と熱源が移動した記憶が残っている
以来 気温はぐっと下がったままだ
何が起きたのか 多くの個たちは誕生に至ったのか
このことはいつも議論の的だ
ある個は
他の個は皆外界へ向けて誕生したと主張した
だが我々十の個には誕生に相応しくない何かがあっ
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