『目玉二ア』  卵から始まるはな詩?/ただのみきや
 
まだ 目覚めていない
血液のせせらぎを聞いている
群青の影が台所を滑り
頭の中 雀が何か啄んだ

フライパンに火を入れる
蓮の花が開くように
わたしは呼び覚ます
朝はひとつの卵から生まれる

わたしは納豆を拒む
どんな強制にも脅しにも屈しない
安いから
体にいいから
そんなことは知っている子供じゃあるまいし
納豆が大嫌いなわけではない
家計を憂う言葉の中に見え隠れする
稼ぎの少さへの当てつけが
わたしを依怙地にさせる
ああわたしは納豆を拒む

そうしてわたしは今 目玉焼きを愛する
毎朝一個
安いものだ文句は言わせない
飽きるだなんて
通り越せば定番
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