『望めても選べない』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
あった
私たちその何かを見つけ出し取り去るべきだと
またある個は
そもそも「ケイシャの知識」それ自体が空想の産物であり
誕生などしないのだ
私たちはみなぼんやりと意識が目覚め
またぼんやりと意識を失くして往く
他の個は消滅したのだと主張し出した
また別の個は
何事も想像だけで結論するべきではなく
私たちは外界からの振動
光や熱の動きなどを絶えず注意深く観測して
何らかの秩序や法則を見つけ出し
事態打開の手がかりを探るべきだと主張した
けれど私がいつも思念していたのは
知識の最後の部分
「真実は望むことはできても選ぶことはできない」
――どういう意
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