『望めても選べない』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
広大で光に満ち
そこでは思念ではなく声という空気の振動で意思を伝え合い
光を通して世界を また自分の姿をも明確に知るのだと言う
知識によれば
私たちは本来「鳥」という存在であり
「翼」というふたつの大きな突起を持つ
「鳥」は その「翼」を動かして
外界にある広大な上部空間を自由に移動すると言う
知識は言う
やがて外界において長い時間が経過すると
私たちは「誕生」と良く似た「死」という過程を経て
さらに違う形態へ変化し
誕生以後の記憶も様々な能力もやはり忘れ去ると言う
「誕生」と「死」は共に出口であり入口なのだ
それまでの在り方と世界を失い
別の在り方と世界へ移
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