『望めても選べない』 卵から始まるはな詩?/ただのみきや
たちは互いに
どの辺りにどのような個が存在するのかを知る
私たちの唯一 精神的支柱と言えるもの
それは「ケイシャの知識」と呼ばれている
その「ケイシャ」が何者なのか
どうしてそれを知り得たか定かではない
それは思念の波の蓄積によって
延々と流れ 受け継がれた
未知なる世界への 唯一の光明
知識によると
私たちの今在る状態とは
固く鈍い殻に閉じ込められた状態で
やがて「誕生」という過程を経てそこから解放される
「誕生」とは個の外界への出口が開くことで
「誕生」すると 今とは違う形態に変わり
誕生以前の記憶も思念の会話も忘れ去ると言う
外界は想像を絶するほど広大
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