九月の雨/赤トンボ/壮佑
ヒーが好きなわけじゃない
自らの「在る」を持て余しているのに
どうしていいのかさっぱり分からず
コーヒーでも飲むほかないのだ
趣味や嗜好や気晴らしなんてものは
だいたいそういうことだ
「なんならこんなコーヒーなんか
赤トンボにでもくれてやらあ〜っ!」
ヘンな人がいると思われてはマズイ
すっごい小声で叫んで顔を上げると
視野がこれまでとはまるで異なり
全方向に180度以上広がって見える
複眼による視覚世界?
私が赤トンボになってしまった
すると前のテーブルの女子高生達が
抜き足差し足で私の前にやって来て
人差し指でグルグルやりだした
キュ〜〜〜〜〜〜〜ポトッ
女子
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