A Tale of the Tontlawald/壮佑
コーヒーをひと口飲んで皿に戻し、窓の外を眺めていたら思い出
したことがある。
遠い昔、私が小学生の頃に読んだ『ばらいろの童話集』のこと。
ラング世界童話全集(東京創元社刊)の第2巻だった。この本に収
録されていた、「トントラワルドの物語」というエストニアの民話
が、大人になってからもずっと忘れられなかった。
編著者のアンドルー・ラングは、オックスフォード大学ではJ・
R・R・トールキンやC・S・ルイスの先輩にあたり、民俗学者に
して作家であり、また詩人でもあった。
ある時、私は屋根裏の物置で埃まみれになっていた『ばらいろの
童話集』を見つけ出したが、それだけでは満足でき
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