【紫】ほかならぬむらさき オムニバス三編/るるりら
【うめぼし】
彼女が その唄を歌うとき、そこには
うめの 花が 咲く
ふりつもった ゆきのような やみと ひかりが
彼女の瞼の中で 息づき
終焉にしか ほどかれることのなかった足枷も ほどかれて
ごつごつと節くれだった その指を
おとめのように 胸に 押し当て
わきあがる熱は 輝きを放つ
あなたの見たという 焼野原に あなたの梅が咲く
あなたがつけただろう白い雪の上の 立体の白い足跡が わたしに歌う
春には梅が咲くことを
その梅の実を紫蘇色にそめた日々のことを わたしに歌う
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