【霧】生国 /るるりら
花が草が虫が獣が 生国を知っている
潤いがたちこめて 生き物たちを通わせるのです。
人間のしでかす すべてのことは隙間だらけ
人の皮膚の隙間という隙間を ふるふると震わせる霧
穴ぼこだらけの わたしたちの
鼻から口から 毛穴という毛穴から ありとあらゆる穴という穴から
霧が沸きだし、わたしたちの憤懣は たえまなく出でては 蒸散し
霧は あたりにたちこめる
死にそうな生き物と成り果てようとする瞬間ですら
はきだされる湿り気おびた この吐く息の温かさよ
だれが吐いたのか どの植物の由縁でできたのか わからぬものを含んだ霧
あたりにたちこめる夜霧に 心静かに佇めば
しだいに すべてを明るみに晒しだしてくれる澄んだ朝の日の光
ごらんよ。
山裾から すっきり晴れていく。
生国 しょうごく 生きている国
生かしてくれているこの場所の物語が 始まる
身体を笛にして
謳うに値する 生き物の国
わたしの呼吸も しょうごくの物語の呼吸のひとつ
心しずかに 息を整える
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