青いカラス/kawa
かなしみの底から立ち上がろうとすることに似ていた。
随分経って、電車は街に着いた。ところが私は、この街に見覚えがあった。そこは子どもの頃、私が住んでいた街だった。
今、ここで、降りなければならない、と、絶対的に直感しながら、私は勇気がなくて降りられない。そうするうちに扉は閉まり、電車は走り出した。すぐに、街の上を、黒いカラスが飛びかっているのが見えた。
このように電車は幾度か停まり、その都度私は降りられなかった。それらのどの街も、いつか私の住んでいた街で、いつでも黒いカラスは飛んでいた。
私はやるべきことを出来なかったのだとかなしくなって、そのまま眠ってしまった。
夢の中で
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