絵描きの鳥/kawa
 
反射的に目を閉じて、何かが溶けて冷たく頬を流れたので、私はそれが雪片なのだ、と知り目を開けた。
私は雪原で、キャンパスと向き合って立っていた。

そこには雪原しかなかった。
遠くで森が寝そべっていたり
ところどころ草原が息をついているような偽物の雪原ではなく
地図の完成する前の時代の、獣しか知らない山奥の湖のような
完璧な雪原だった。

雪は無表情に降り続けていて
私ははじめてみた工業機械の部品を手にしたように
絵筆とパレットをぶら下げ
真っ白い空と雪原の間に地平線を探していた。

雪原を描くのだ

と声がして、私はようやく、傍らに男が立っていることに気がついた。
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