空想の鳥/kawa
夢のようだった
銀河鉄道の夜でよんだ
真っ白な鷺(さぎ)の菓子を
わたしは大地に植えていた
ずい分長い間そうしていたのだった
一羽でも多くと
せっせ、せっせ、尊くひかる白い足を埋めてゆく
ひゅうおおおう
風が一きわつよく鳴り
わたしは顔をあげた
わたしは土ぼこりにまみれていた
そこは、木一本生えていない荒地だった
わたしは温覚を失っていて、これは現実ではない、とつぶやいた
うしろには、憂鬱な設計士によってつくられた滑走路のように
ゆるやかに蛇行する白鷺の一列が
遠く地平の向こうからわたしの足元までつづいていて
暴力的にうつくしい夕暮れとともに
世界の果てをつくっていた
わたしは地面にくずれた
目の前に植わった鷺が
浮彫の目で口をきいた
ヒトミニウツスノハ、ソラダケダ
わたしは空を眺めた
ぼんやりと白い輪が
月をかこんで廻っている
やわらかくうつくしくひかる
あれは何だ
ああ、鳥か
わたしの空想の鳥の群れだ
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