鳥/kawa
瞳の中に鳥が住む
求める実をみつけると、鳥は飛び立つ
こんな光の白い日には
たくさんの鳥が飛ぶだろう
鳥はよびよせられない
そのくせ、いつか瞳の中に入りこむ
眠っているときにでも、わたしの鼻頭につかまって
わたしを見下ろしているのだろうか
しかしそれは違うと思うのだが
誰かの瞳に住んだ鳥が
わたしの瞳に住み
うつくしく生きて
あるとき、遠く飛びさる
訳もなく涙があふれるのは、そのときなのだ
実を、実を
空気をふるわせず、鳥は鳴く
つめたい海をかがやかす朝の太陽や
季せつはずれに舞う一頭の蝶をみて
しいんと立ちつくすとき
鳥は飛びさったのだ
すべての生きものと同じように
鳥は実を求め飛びさったのだ
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