離岸流/そらの珊瑚
 
磨かれた空に足跡つけていくいたずら小僧のような雲たち

なんにでもなれる人がやわらかく五月の樹々の若葉となって

この指をアンテナとして建てました心のスイッチ押して下さい

まなこから鱗はがれて落ちていく魚であった記憶とともに

ひらがなが略字となって見える日は省かれてゆく悲しみがくる

点が持つ軌跡のような円になる 手嶌葵のうたごえ聴くと

踏まれても強い花だというけれど踏んでくれとは言っていません

水中をたゆとうように生きていく我一粒の泡となっても

   グループ"夢見る頃を過ぎても(短歌)"
   Point(7)