金魚(散文詩)/そらの珊瑚
等に信じてはいない。死んだらそれで無になる。肉体が滅べば、それに付随する精神世界もそこで終わりだと思っている。骨はもはや思考しないのだ。もし私に守るべき家族がいたなら、どうであったか。自分が死んだのちのことをあれこれと心配しなくてはならないかもしれない。家訓をしたためたり、遺言にはどう書くべきか、死後の家族のありように心悩ませるかもしれないが、幸いなことに、家訓も、遺言も、配偶者も、子供も持たない、天外孤独な身の上だ。遅かれ早かれ、いすれは無縁仏となるであろうことについては、不幸なことに、と言い直すべきか否か。
ウィークデイの図書館には、私のように暇を持て余したリタイア組と思われる初老の男が多
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