金魚(散文詩)/そらの珊瑚
梅雨の晴れ間に射す陽光は、いかにも目に眩しい。この図書館の処々にはステンドグラスのはめ込み式の窓がある。陽が射さない日には、くすみ、精細を欠くその窓も、今日は冴々と色を発色させて美しい。ステンドグラスが教会に使われているのは、(主にそれらの絵に聖書をモチーフにしたストーリーがあることが多い)文字の読めない信者にも、わかりやすく教えを説くためと、いつだったか読んだ本に書かれていた。教会で彼らはそこに天国を見ることだろう。朝日が刻々とそのステンドグラスに命を与え、色の透明度を増していくきらめく美しい世界に、まだ見ぬ楽園の地、まさしく天国を感じることだろう。
私は無宗教である。天国も地獄も同等に
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