【批評祭参加作品】わかンない!/藪木二郎
されつつあるものとしてみずからを送り届けるその言葉の単独性=多数性は、いったい誰の署名を求めているのだろうか。(守中高明「無言・偶然・わたくしたち──「The Other Voice」論」『現代詩手帖』思潮社、一九九九年一〇月、三七頁)
[……]アルチュセールにとって、「世界」とは、概念の一般性による抽象を離れたときにこそ、特異=単独なるものたちの実在として露出するものなのであり、そこでは「それぞれの特異性や個別性」は、「同じく特異な言葉」によってのみ指示される。それゆえ、例えば「ここと今」は、その言葉が「すでに一個の抽象」であるからには「結局のところ名づけることはでき」ず、ただ身振りによっ
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