【批評祭参加作品】わかンない!/藪木二郎
 

 言葉が出来するとは、どのようなことか。一つの、そして、つねに多数なるものへの約束を交わす一つ‐でない言葉たちが場を持ち、場を保つとは、いったいどのような事態であるのか。それも、その言葉たちが、みずからの生起以前にはいかなる構造も平面も先行的に借定せず、一切の目的論的運動性を欠いたまま、ただみずからの純粋に不確定な現れを告げ知らせ、つまりはみずからの決定的な偶然性をあらゆる真理・意味・起源の保障ぬきに絶対的に肯定する、そんな力に結ばれているとしたら? そして、そのような言葉たちが生まれるとき、それはいったい誰のものであるのか。すなわち、そのつど一度かぎりのもの、だがそれでいてつねに無限に反復され
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   グループ"第5回批評祭参加作品"
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