【批評祭参加作品】まど・みちおの戦争協力詩/石川敬大
 
許さなかった。戦後は一転して、高名だった三好達治や高村光太郎などの戦争協力詩が、吉本隆明らの批判の的になった。太宰治の厭戦的心情小説や金子光晴がおっとせいを擬人化して反戦詩を書いていた事実がある一方、太宰も金子も戦争に協力的な作品も書いていたとする説もある。詳しいことは多面的に調べなければ真相はわからないのだ。

 ご存じの方がおられたら、ご指摘いただければ幸いである。

 さて、まど・みちおの戦争協力詩に関する話題にもどろう。
 「ぞうさん」「やぎさんゆうびん」などで広く知られるまどは、ちいさな生命に対する人間の横暴な態度に憤ってきた。そういう視点で戦後を生きてきた。それだけに先の戦争
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   グループ"第5回批評祭参加作品"
   Point(6)