鳩のこと/はるな
い、帰りみち白線を踏み外さなかったら明日はノーと言える。
いちばんよくしたのは、信号だ。点滅する前にわたりきれなければ、死ななければならない。
そうしてたびたび「死ななければならなか」った。そのたび死んだ。死んだら、赤と青が交互に点るのを二回みなければならず、次にその信号をわたるときには息をとめなければならない。ルールだった。
思えばたくさんのルールがあった。わたしがわたしを律すること、罰することはわたしにとってとても重要なことだったから。
だれもが、どんなやり方であるにせよ、自分で自分を保っている。
わたしの場合は、賭けと、ルールだった。でもたぶん、わたしは自分を罰したかったのだ。何に
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