鳩のこと/はるな
 
何に対しての罰かはわかっていた。それだけはいつも。


鳩たちもよく賭けにつかわれた。夕方、鳩が舞う時間はちょうど帰るころだったから。
あの電柱までに、一匹でも折りかえして来なかったら今日は死のう。目を閉じて開けるまでに、あの茶と白まだらのやつがこちらに向かっていなければいなくなろう。

いつでも、鳩はきちんと折りかえしてきた。白も、まだらも。一匹のこらず。鳩はちっとも乱れずに飛んだ。いつでも。青空でも。曇りでも。風がすこしあっても。暑くても、寒くても。雨の日以外には。


けさ、久しぶりに鳩をみた。相変わらずの隊列、反射する白。
わたしはもう、ほとんど賭けをしない。賭けをしな
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