家のこと/はるな
 

季節はどのこもきまぐれだから、ちょっと近づいてはため息を落として見えなくなってしまう。噴水の見えるベンチへ腰かけて見れば、滑稽な銅像のうえをすべっていく水たちのなめらかなさまよ。ほんとうはわたしはもっと眠っていたい。

二月の終りに実家へかえると、和室に雛飾りが出ていた。娘三人が家を出て、両親だけになっても母は雛飾りを出す。
ぼんぼりは好きだった。なぜだかはわからないけれど、雛飾りをみるとお葬式を思い出す。おそらく母方の祖父母の田舎で、だだ広い畳敷きのうえで、まだ毬のようにちいさかった私と姉と(妹は生まれていなかったと思う)、いとこたち。行事にまつわる思い出は、すべて母に寄っている。父と
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