純白恋夢 ‐?‐/愛心
 
その部屋で、彼女はいつも一人だった。

思えば、姫君にとって、僕は唯一の友人だったんだろう。
姫君は可愛らしい声で、よく僕に話しかけた。
返事なんて出来ない。
人間の言葉を僕は発音できない。
それでも、姫君は羨ましそうに僕を止まらせたその指を、窓の外に差し出しながら。
話しかけるのだ。いつも、いつも同じ内容で。

私の代わりに、世界を見ておいで


悲しそうな微笑とともに、何度も何度も、空に放たれる体。

青い空。白い雲。森から流れてくる碧い風。人々のざわめき。降ってくるような陽の光。
燃えるような夕焼け。柔らかなコントラ
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