純白恋夢 ‐?‐/愛心
 
トラストの空。温かな懐かしい匂い。
黒く艶めく夜空。散りばめられた星々。そうっと照らす月光。灯る地上のランプ。

目で、耳で、嘴で、翼で、足で。
外の世界を体中で感じて、僕はくるりと彼女のもとへ。

嫌だった。
姫君を置いて自由になって、何になるというのだろう。

世界が染み込んだ体を姫君に擦り寄せると、その瞳は見開かれる。すうっと呼吸を深くした彼女は、嬉しそうに、辛そうに、淋しそうに、悔しそうに微笑んで眦に涙を溜めた。

か細い声で、ありがとう。と呟いて姫君の涙は、僕の羽をじわりと濡らす。
触れた瞬間は熱く、瞬間、冷たく染み込むその滴。
泣かない
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