純白恋夢 ‐?‐/愛心
トラストの空。温かな懐かしい匂い。
黒く艶めく夜空。散りばめられた星々。そうっと照らす月光。灯る地上のランプ。
目で、耳で、嘴で、翼で、足で。
外の世界を体中で感じて、僕はくるりと彼女のもとへ。
嫌だった。
姫君を置いて自由になって、何になるというのだろう。
世界が染み込んだ体を姫君に擦り寄せると、その瞳は見開かれる。すうっと呼吸を深くした彼女は、嬉しそうに、辛そうに、淋しそうに、悔しそうに微笑んで眦に涙を溜めた。
か細い声で、ありがとう。と呟いて姫君の涙は、僕の羽をじわりと濡らす。
触れた瞬間は熱く、瞬間、冷たく染み込むその滴。
泣かない
[次のページ]
次 グループ"純白恋夢"
編 削 Point(2)