交錯詩「風」奥主 榮  萌木 碧水/鵜飼千代子
 
                奇数行:萌木 碧水
                偶数行:奥主 榮

  するり とすぎた
   形がないまま ふわりと
  いま なにが流れたの
   頬をかすめる けはいのよう
  耳もとで ささやかれたような
   草達は くきの先だけを揺らしている
  ほほを なぜられたような
   木々は 枝のあいまを ぬけさせる
  ふみとどまるのは もうやめよう
   雲のかげ 地平線へとしっそうし
  つれさられてみよう
   日差しは ないでしまった
  ほら 身をまかせて
   くすっと笑って 身をひるがえし
  ふわりとうい
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