【批評祭参加作品】近代詩と現代詩の受容の違いについて/岡部淳太郎
ここまでひととおりの前置きを済ませた上で、改めて考えてみたい。近代詩と現代詩の受容のされ方に、どうしてこのような違いが生じてしまったのだろうか。それはおそらく、日本において人々が詩に対して抱いてきたイメージが元になっている。それは、詩をひたすら抒情詩と見なしてきたということだ。当たり前のことだと思われるかもしれないが、西洋においては古代ギリシャの時代から連綿とつづく叙事詩の伝統があり、その点で日本とは大きく事情が異なっている。日本でも長歌のようにある程度以上の長さを持つ詩の形式があったものの、それは時の流れの中で定着せずに、三十一文字の和歌や十七文字の俳句などの極端に短い形式のものに取って代られ
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