【批評祭参加作品】近代詩と現代詩の受容の違いについて/岡部淳太郎
 
置しているからだ。日本の人々は詩に甘い夢を託そうとしてきた。だからこそ近代詩と中でも夭折した抒情詩人は広く受け入れられ、現代詩は受け入れられないのだ。この人々のイメージや欲求と実際の詩作品との間にギャップがあるということが現在の詩の受容のあり方になっており、そこから現代詩の難解論をはじめとした詩の実作者と受け手との間の不幸な関係が成立してしまっている。そしてまた、現実社会に生きる人々の日々の辛さや苦さをひと時だけでも慰め癒してくれるものとしての詩の姿が求められてきたということは、詩と詩人が社会から見てマイノリティでありながら、それゆえに逆にそのような現実を超越した特殊な機能が期待されてきたのだと言
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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