【批評祭参加作品】近代詩と現代詩の受容の違いについて/岡部淳太郎
と言える。社会から隔絶してひとり孤独のうちに黙々と芸術活動に打ちこむという古典的な芸術家像が、ずっと人々のイメージとして保たれてきたのであり、そこにはマイノリティとしての芸術家を忌避しながらも憧れるという背反した感情とともに、社会全体のスケープゴートとしての芸術家像が求められつづけてきたという日本社会全体の精神性も関わっている。このような歴史的および民俗的な事情を考慮しなければ、近代詩と現代詩との間に横たわる深い溝を説明することは出来ない。性急に人に読まれる詩を求めるだけの態度は、その意味において根本的に誤りであると言わざるをえないのだ。
(二〇一〇年一月)
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