【批評祭参加作品】近代詩と現代詩の受容の違いについて/岡部淳太郎
 
推測される。
 おそらく、人々が現代詩よりも近代詩に親しむ理由の中には、歴史化されたものへの安心感といったものもあるのだろう。よく有名人が亡くなるとマスコミやファンの間でその有名人への神格化が行われるが、あれと似たような感情だろう。現実にいまここで生きて活動している者はまだ活動の途上にあるため、次の展開が予測出来ない。それに対して、既にこの世に亡い人であれば、その活動の全貌を俯瞰的に捉えることが出来る。もともと人は予測不可能なものを嫌う習性を持っているから(それは社会の中で生きてゆくために、人が自然に身につけた自己防衛本能の一種であろう)、既に完結してしまったものの方がより安心感を得られるのだ。
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
   Point(4)