【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
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 「川島みたいなやつ」からはじめている。
 したがって、
 「川島」も、
 「カワシモ」も、
 「シシャモ」も、
 その音の横滑りによって、
 同一人物であるかどうかの不確定な揺れを、
 「川島みたいなやつ」
 というはじまりに託している。

 「新しい彼女」は、
 「助手席に座っている女」にずらされ、
 「腱鞘炎に悩んでいる女」にずらされ、
 「女子社員」にずらされた。

 「助手席に座っている女は正面から見たらパンツが丸見えで、」
 つまり、
 「シシャモさんのパンツが丸見えの件について、」
 であり
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