【批評祭参加作品】失われた「鈴子」を求めて/香瀬
 
こいつもつるっつるで空っぽだった。浮遊する水玉は公園の空を飛び交っている。カモン、カモンとはびこっている。どんぱちをくぐりぬけて「ホーキンスさん」役の男子にようやく近付いてみると棺桶は冷蔵庫で代用されていたのだった。

 僕は試験に落ちたことを思い出す。スキルアップのための資格試験を受けたのだけれどなんのスキルをアップさせたかったのか今となっては覚えていない。そうやって何かのスキルが知らないうちにアップされていれば社会は僕という個人を認めてくれたのかもしれない。試験に落ちるということは社会に認められないということだろうか。わかんないけど、少なくとも試験官の準拠する合格基準には認められなかったこ
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   グループ"第4回批評祭参加作品"
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